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異文化との円滑なコミュニケーション,特に英語話者との英語でのコミュニケーション.
私は親戚がアメリカに在住しているため,英語話者との間での英語でのコミュニケーションに興味があり,またNAPで行くことを希望するベトナム・マレーシア両国でも英語でのコミュニケーションが必要であると知ったため英語での円滑なコミュニケーションのために日本語と英語を取得するときに発現する特徴と問題について研究し,英語でのコミュニケーション時に意識するため.
[研究方法]
公立マイアミパルメット高校と州立フロリダ大学で日本語教師として活動しているアベロ美恵子さんにインタビューを実施した.インタビュー内容としては日本語話者が英語を取得するとき,英語話者の日本語習得のときに発現しやすい特徴の二つを中心として行った.また,インタビューのみではなく文献調査も同時に行った.
母語を日本語とする日本語話者が英語を習得するときには発音とリスニングの部分が不足しているとインタビューでは述べた.さらに文化の違いにより英語では不適切な場面や方法で単語を使用する傾向もあると述べた.オハイオ大学(1994)のプロジェクトチームの研究でも同様の結果が報告されており,日本人は英語での発音が不明瞭,ことばの使用が不適切という報告がされている.山中(1995)の研究ではさらに,日本人がアメリカ人のスピーチの20%しか理解できず,80%を勘や推測で補完しているという結果もあり,日本語話者の英語取得時の特徴といえる.
英語を母語とする英語話者が日本語を習得するときには,日本語の特徴である婉曲表現が習得困難であると述べた.英語文化では見られない独特な表現が困難な要因であると述べている.山中(1995)の研究でも同様にアメリカ人は日本人の英語での表現が直接的ではなく,日本人の意図とことば・記号体系に矛盾・乖離があるとしている.そのため日本語を母語とする話者にもこの傾向があるといえる.さらに英語には終助詞に当たる語は存在しないと井出ほか(2005)は述べている.このことから,日本語話者と英語話者間での英語でのコミュニケーションで起きうる問題は,発音,リスニングと婉曲表現の問題によって引き起こされるといえる.
発音,リスニングの問題は個人の訓練により克服可能である.しかし,婉曲表現の問題は日本語の構造に起因するものといえる.山中(1995)は英語で「昨日,本を買った」という場合I bought a book またはI bought some booksのように数を明示しなくてはならないとまとめ,インタビューでは名刺の単数複数,定不定を日本人は重要視しないと述べていたように,日本人はそのような部分を必ずことばで区別する文化が存在しないということである.さらに,日本は単一民族国家であり,複数言語を国民が話し公用語も複数設定されている国家ではないということである.つまり,こういった独特な婉曲表現が存在して,他言語話者との意思疎通に問題が発生するという状況がほとんど存在せず,この特徴を明確に実感する機会が存在しないことである.そのため婉曲表現の問題が日本国内では発現せず,英語話者とのコミュニケーションにおいて問題を引き起こす場合があると考えられる.改善のためには,英語を母語とする英語話者とのコミュニケーションを行うことが必要である.婉曲表現は日本語に見られる特徴なので日本語を母語とする話者とのコミュニケーションでは発現しにくく改善することはできない.そのため英語を母語とする英語話者との英語によるコミュニケーションによって問題を実際に発現させ,改善することが可能である.インタビューでも同様に,日本語話者は会話をすることによって,英語の文化を理解することができると述べていた.また,リスニングと発音の訓練にも実際にコミュニケーションを行うことは良い効果をもたらすとインタビューでも述べられている.
現在では英語圏に実際に行かずに英語を母語とする英語話者とインターネット等を介してコミュニケーションを取ることが可能であり,そういった媒体を利用するなどして,コミュニケーションを行うことが改善のために重要であるといえる.
日本語話者の英語取得時の問題としては,発音とリスニングと婉曲表現があげられる.発音とリスニングは個人の訓練が解決には必要である.婉曲表現は日本語に起因するものであり,日本語話者との会話では発現しにくい.そのため婉曲表現の相違は実際に英語を母語とする英語話者との英語でのコミュニケーション訓練が相違の解消のために必要である.また発音とリスニングでも英語話者とのコミュニケーションは有効である.
井出祥子,2005,異文化コミュニケーション学,井出祥子・平賀正子編「異文化とコミュニケーション」2-23ひつじ書房,
山中智之,1995,多国籍企業と異文化コミュニケーション「異文化理解とコミュニケーション」36-63北海道大学言語学部,
Kin/Paulk: Intercultural Challenges and Personal Adjustments In: Wiseman/Shuter(ed): Communicating in Multinational Organization, SAGE London 1994,p117-140